【平和構築】モザンビークで地雷完全撤去宣言

The Halo Trust のホームページより転載

The Halo Trust のホームページより転載

モザンビークの地雷が完全撤去

昨日(2015年9月17日)、モザンビーク政府は最後の地雷が破壊され、国土から地雷が完全に撤去されたことを宣言した。

モザンビークは、1975年の独立戦争とその後の15年間に及ぶ内戦を通じて、大量の地雷が全国に撒き散らされ、世界で最も地雷の多い国の一つとなった。犠牲になったのは一般の人々だ。地雷で亡くなった人の数は少なくとも10,000人から15,000人と言われているが、正確な数字は不明だ。手足を吹き飛ばされ、身体の障害を抱える人々も数知れない。戦争が終了した後も、残された地雷は人々の生活を脅かし、経済の成長を妨げてきた。

この地雷撤去に長年取り組んできたのがイギリスの人道的な地雷撤去を目的にしたThe HALO Trustである。内戦が終了した1993年から20年間にわたり、171,000個の地雷を破壊してきた。20年間で延べ1600名のスタッフを雇い、地道に地雷撤去の仕事を続けてきたという。

Mozambique declared landmine free/Reuters/September 17, 2015

地雷が撤去されたことのインパクトは大きい。人口2600万人を擁するモザンビークは農業国であり、安全な農地が増えることで生産は高まり、産業を支える道路や橋などのインフラづくりも進むことになった。また石炭と天然ガスといった資源採掘への道も開き、外国投資も増えている。モザンビークは、現在、年7〜8%の経済成長を持続しており、今後も高い成長が見込まれている。

地雷に苦しむ国々は、まだ多い。アフガニスタン、カンボジア、ラオス、ジンバブエ、スリランカなど、The Halo Trustが活動する地域だけでも15カ国ある。地雷撤去は、命をかけた危険な仕事で、ビデオ: Joueney to Mine Free Mozambiqueからもその緊張感と凄まじさがひしひしと伝わる。次に地雷の完全撤去が宣言されるのは、2017年のソマリランドだということだ。道はまだ遠く、険しい。

【環境】グリーンケミストリーの動向

グリーンケミストリー(Green Chemistry)とは

グリーンケミストリーという言葉は、日本では一般にあまり馴染みがないものかもしれない。化学物質による環境汚染を防止し、生態系や人体への有害な影響を最小限に抑えることを目指した化学のことで、1990年代からアメリカを中心に提唱され、世界的に広がったコンセプトである。

このグリーンケミストリーの中核をなす考えは、Paul AnastasとJohn Warnerが1998年に発表したGreen Chemistry: Theory and Practiceという著作の中で提唱した12原則(12 Principles of Green Chemistry)にある。原則の中には、廃棄物はできるだけ出さない(第1原則)、無害な化学製品の設計(第4原則)、有害な溶剤や補助剤をできるだけ使わない(第5原則)といったものが含まれる。詳しくは、以下のサイトをご参照願いたい。

米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency):Basic of Green Chemistry

日本では1999年にグリーンケミストリー研究会が日本化学会の中に結成され、2000年には産官学連携による「グリーン・サステナブル ケミストリー ネットワーク」が設立されて、現在GSCN会議として、新化学技術推進協会の中で活動が展開されている。

グリーンケミストリーをめぐる新しい動き

グリーンケミストリーは米国に始まり、欧州や世界各国で具体的な法や規制となって形を成してきたが、産業界における推進の動きは遅かったと言われている。Green Chemistry & Commerce Councilが2015年3月に公表したAdvancing Green Chemistry: Barriers to Adoption & Ways to Accelerate Green Chemistry in Supply Chainsによれば、その原因はグリーンケミストリーの定義が不確定なこと、サプライチェーンの複雑さ、新しい化学製品へ移行するためのリスクやコストなどが挙げられており、ステークホルダー間のより一層のコラボレーションや、小売や消費品メーカーからの要請、消費者への教育などを改善策として提言している。

そんな中、アメリカの大手小売チェーンや消費製品メーカーに新しい動きが出ている。例えば米国最大の小売チェーンであるWalmartやTargetといったスーパーで、グリーンケミストリー製品を購入する自主ガイドラインを2013年から導入している。政府による法や規制では合法でも、自社の基準にそぐわない場合には購入しないというもので、メーカーに対して強い圧力となる。またジョンソン&ジョンソンが自主的に有害とされるフタル酸エステルを使用しない方針を決めた。

A Toxic Situation: Walmart and Target take on Chemical Safety, The Guardian, 2013年12月13日

こうした動きは、今まで足踏み状態であったグリーンケミストリーの動きを加速することになるであろう。需要サイドからの圧力を受けて、生態系や人体に優しい、無害な化学品への技術革新やイノベーションが生まれる基盤が整いつつある。

ドイツにおけるインクルーシブ教育の意識調査

Deutsche Welieの記事より転載

Deutsche Welieの記事より転載

ドイツのBertelsmann Foundationが行ったインクルーシブ教育に関するドイツ国民の意識調査の結果が公開された。レポートはドイツ語で書かれているのだが、概略が英字紙に掲載されていたのでご紹介したい。

ドイツでは2009年に国連の「障害者の権利に関する条約」を批准し、インクルーシブ教育の普及を進めている。本調査は、批准後6年が経過する今、ドイツ国民の意識がどのようになっているかを4300名の親を対象にインタビュー調査を行ったものである。

調査によれば、回答した4300名の3分の1以上がインクルーシブ教育を行う学校に子供を通わせている。インクルーシブ教育を行う学校に対する親の評価は高く「子供を通わせている学校に満足しているか」という質問に対し「満足」と答えた親は68%にのぼり、インクルーシブ教育を導入していない学校に子供が通う親の58%を上回る。

先生に対する評価も高く「説明がきちんとできる」、「教えることへのコミットが高い」、「子供の長所を伸ばしている」といった項目で、インクルーシブ教育を行う学校の先生の評価は一般の教師より高くなっている。

調査結果にはインクルーシブ教育に関する親たちの複雑な思いも反映されている。調査対象の7割がインクルーシブ教育が社会に必要と回答する一方、障害者は特別学校で学んだ方が良いとする回答者は6割を超え、半数がインクルーシブ教育によって障害を持たない子供たちの学習が遅れると考えている。

日本でも2014年1月に「障害者の権利に関する条約」を批准、関連法が施行となっている。現場レベルも含めてどのような教育システムを構築していくのか、具体的な議論はこれからだ。インクルーシブな教育とは何か、そもそも教育とは何かの根本的な議論がなされ、全ての子供たちがそれぞれの個性やニーズに応じて成長できる社会に(時間をかけながら)変化していくことを期待したい。

条約批准後のドイツでも、地方公共団体レベルでの対応はまちまちで、すこしずつ理解が広まっている様子だ。これから始まる日本においても長い時間と多くの議論が必要となるに違いない。次世代の社会を生きる子供たちのために、わたくしたち一人一人ができることは、まずは知ることだろう。

記事: Educational Inclusion Slowly On The Rise In Germany, Study Shows/Deutche Welie/ 2015.7.1

調査レポートはこちら(ドイツ語)