白熱する給食をめぐる議論
我が子が食べるものは、親が管理したい!デンマークでは、学校の給食制度導入に関して今、白熱した議論が専門家(給食推進派)と親たちの間で交わされているようだ。デンマークの英字紙「The Copenhagen Post 紙」が伝える記事をご紹介する。
Parents or School-who should be responsible for school lunches/ The Copenhagen Post/ August t, 2015
デンマークの小学校の子供達の昼食は、親がつくる弁当(Lunch Box)が伝統的だ。フィンラドやスウェーデンなど、他のスカンジナビア諸国は給食制度を導入しているが、デンマークでは頑なに「弁当主義」を守ってきた。しかし、ここにきて給食制度を導入する動きが生まれている。
給食制度を推進する専門家たちは、子供の食事の偏りを指摘する。曰く、多くの親は毎朝慌てて弁当を作っており、栄養面でバランスが取れていないし、ジャムをつけたサンドイッチのような、単純でワンパターンとなるケースが多い。給食であれば栄養面も十分に配慮し、手の込んだ献立を用意することができる。したがって、子供達の健康のためにも給食制度を導入し、健康的な昼食を食べさせるべきだ、と。
これに対して親たちから一斉に反対の声が上がった。我が子の食べるものは、親が管理すべきだ。欧米の事例でも給食は肥満児を増やすばかりで、ハンバーガーとかフレンチフライのような不健康なものが出されている。子供達の健康には親が責任を持つべきだ、という主張である。記事によれば、デンマークでは子供に弁当をつくることは、子供への愛情とおもいやりに強く結びついているそうで、親は簡単にこの絆を切りたくないと考えているようだ。
もちろん、給食の導入に賛成する親たちもいるわけであるが、このデンマーク人たちの反応は子育てのあり方について考えさせられる。日本のメディアの記事やニュースを見る限り、日本の親たちは、子供のしつけや健康管理に関して、学校にたよる度合いが強いように思える。親は「愛情」を与える役割に徹し、あとは学校に任せるという隠れた意図も見え隠れする。
「生活大国」と言われ、Well Being(人間として豊かな生活)が育つ国と言われるデンマーク。福祉政策などの社会的なスキームだけではなく、個人の根本にある「豊かに生きることへの責任感」といったものを感じさせるエピソードである。

