【エシカル】魚の養殖はエシカルか

The Guardian紙のホームページより転載 Photograph: David Cheskin/PA

The Guardian紙のホームページより転載 Photograph: David Cheskin/PA

魚の養殖の増加

世界の海の生物が半減している中、魚の養殖が大きく増加している。実に過去30年間に12倍の生産量となっている。同じ期間の天然産の漁獲量伸び率が35%であるから、その大きさが理解できるであろう。FAO(国連食糧農業機関)が発表した報告書(Fish to 2030: Prospects for Fisheries and Aquaculture)によれば、現在、わたくしたちの食卓に上る魚の半分が養殖であり、この割合は2030年には60%まで上昇すると見込まれている。

実際、スーパーで買い物をすればわかる。鮭などではチリ産の養殖が占め、天然産の方が珍しい。東南アジアではエビの養殖が盛んで、その多くが日本の市場に届けられる。世界的にまぐろ需要が高まっており、その養殖技術の成功が世間の耳目を集めている。

この養殖により、私たちは低価格で魚を食することができている。世界人口の増加に対応する食糧を確保する上で、魚は動物性タンパク源の一つとして、これからも重要な食糧資源となるであろう。過剰な漁獲を抑え、天然資源の保存に役立つことが期待される。

養殖はエシカルか

しかし、こうした魚の養殖に対して、批判的に見る見方もある。その理由の一つが養殖に必要なエサである。水中のプランクトンなどを食する魚介類であれば良いが、肉食の魚だとエサを用意する必要がある。このエサのために、大量の魚が海から捕獲され、エサに利用されているのだ。

養殖による病気の蔓延や、自然環境の破壊が指摘されている。エビの養殖は塩水を引き込むため、地下水の汚染や土地の塩害が起きており、社会的な問題となっている。被害を受けるのは、そこに住む貧しい住民である。

養殖業者は、こうした批判に応え、改善を図ってきた。その顕著な例がサケ養殖であり、今や1キロのサケを養殖するのに、1.4キロ以下のエサで足りるところまでエサの効率性が高まってきている。牛を1キロ育てるのに10キロのエサが必要であることと比較すると、実に効率的であると言える。サケの養殖にかかるコストの60%がエサ代なので、このエサの効率性改善はビジネスの成否にも関わってくる。

世界最大の食糧関連企業のカーギル社は、この効率的なエサを開発したノルウェイのEwo社を買収した。この技術を魚の養殖だけでなく、養鶏にも使おうとする戦略のようだ。

出典:Farmed fish could bring us cheaper food, but is it ethical? (the Guardian/Sept.1, 2015) 

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