3Dプリンターでロボット義手を制作
今、世界ではアシスティブ・テクノロジー(Assistive Technology)と言われる障害を持つ人を支援する技術、特にITやロボットの技術を活用するものが徐々に認知度を高め、関心が持たれ始めている。こうした技術には、目の不自由な人のためのコンピュータ画面を読み上げる技術や、ロボット技術を応用した義足や義手などがあり、世界の多くのエンジニアが取り組んでいる。
こうしたアシスティブ・テクノロジーの一つに筋電義手というものがある。これは手を失われた障害者が残された腕の筋肉の電気信号を介し、直感的に操作する義手のことで、すでに製品化され、販売もされている。ビデオなどで操作のデモンストレーションを見てみると、まるで自分の手のように操作していて実に感動的だ。
こうした技術はとても素晴らしいが、課題はコストの高さだ。通常、筋電義手は安くても150万円以上するという。一般の障害者にはとても手が届かない。しかし、あたらしいイノベーションで価格破壊に挑戦する動きが始まっている。
この動きを促進しているのが、3Dプリンターの普及だ。3Dプリンターが一般的に手が届く値段で購入できるようになり、筋電義手を3Dプリンターで製作する技術者が各地に現われてきた。日本ではExiii(イクシー株式会社)という新しいベンチャーが取り組んでいる。3Dプリンターで部品を製造し、大幅に制作コストを削減している上に、部品交換やデザインなどのカスタマイズも可能にしている。
また同様の動きはイギリスのOpen Bionicsでも展開されている。3Dプリンターを活用して作られた筋電義手は、通常4百万円以上のコストがかかる筋電義手を10分の1の約40万円(2000ポンド)で販売でしている。圧倒的な価格破壊である。こちらもカスタマイズができることを売りにしているようだ。
アシスティブ・テクノロジーの普及化を支援する団体も出てきている。例えばグーグルはインパクトチャレンジ/障害者(Impact Challenge/Disabilities)を立ち上げ、革新的な技術で障害者を支援する団体に助成金を出して応援するプログラムを展開している。日本でバイオニック義手の普及に取り組むNPO法人Mission Arm Japanが前出したExiiiと組んで選出されている。
またイギリスのNestaは、Inclusive Technology Prizeを立ち上げ、アシスティブ・テクノロジーのイノベーションに賞金を出している。
こうしたイノベーションがどんどん進み、障害者にとって住みやすい世界に一日も早くなることを願ってやまない。これからの展開に大いに注目だ。

