【未来の社会】2100年の世界の人口状況

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人口動向が変える世界の姿

2100年の世界は、どうなっているだろうか。無数の変動要因がある中で、比較的予測がつきやすいのは、人口動向である。このほど、国連は2100年の世界の人口動向に関する調査レポートを公表した。その内容は内容はなかなか衝撃的である。

World Population Prospects 2015 Revision Key Findings & Advanced Tables

世界人口の39%がアフリカ諸国に

レポートによると2015年7月現在、世界人口は73億人に上っている。その内訳はアジアが最大で44億人で60%、アフリカが12億人で16%、ヨーロッパが7.4億人で10%、ラテンアメリカが6.4億人で9%、北米などその他地域が4億人で5%といった内訳だ。これが2100年には総人口が112億人に増加し、特にアフリカの人口増加が突出して高く、全世界人口の39%を占めるようになる。

出典:国連World Population Prospect 2015 Revision のデータにより筆者作成:単位百万人

出典:国連World Population Prospect 2015 Revision のデータにより筆者作成:単位百万人

上位9カ国で全人口増の半分を占める

2050年までの動向を見ると、以下の9カ国で世界の人口増の半分を占める。顕著な人口増加を示すインドは7年後の2022年には中国を抜いて世界最大の人口を抱える国となる。アフリカではナイジェリアの増加が大きく、コンゴ、エチオピア、ウガンダ、タンザニアといった国々も大きく増加することが見込まれている。

出典:国連World Population Prospect 2015 Revision のデータにより筆者作成:単位百万人

出典:国連World Population Prospect 2015 Revision のデータにより筆者作成:単位百万人

高齢化が進む世界

レポートで示されていたもう一つの顕著な特徴は人口の高齢化である。特にアジアや欧州での高齢化が進み、日本を含めた数カ国では人口の大幅な減少が見込まれる。現在、世界の年齢の中間値は29.6歳であるが、2050年には36歳になり、2100年には42歳になるという。

この予測は、もちろん様々な変動要因を含んでいるので、この通りになるわけではないが、今世紀はアフリカの台頭が世界に大きな影響を与えてくことだけは確かだ。

【イノベーション】海中農園でイチゴ栽培!

The Guardian紙の記事より転載

The Guardian紙の記事より転載

海底で農作物を栽培

巨大なバクテリオファージのような形をして海底に浮かぶ物体は、海中に設置されたグリーンハウスである。SF映画にでも出てくるような光景であるが、この海中農園でレタスやキャペツ、イチゴまで栽培されているのだ。

スイスのスキューバ・ダイビング用品の製造メーカーであるOcean Reef Groupが開発している海中グリーンハウスは、その名も「ニモ・ファーム(Nemo Farm)」。ディズニーのアニメキャラクターに由来しているが、まさに夢のあるプロジェクトである。イタリアの海岸沖100メートルの浅瀬をテストベッドに、2012年より実験が行われてきた。グリーンハウスのそれぞれに栽培用のトレーが8〜10枚置かれ、さまざまな種類の農作物が育てられている。

海中グリーンハウスでは、水耕栽培の技術を活用する。ハウス内で蒸発した海水は、天井で露となり、したたり落ちて作物の水となる。海中の温度は安定しており、天候に左右されず、害虫の心配もない。太陽光は海水で遮られるが、植物の成長で一番大事な赤外線は海中5〜15メートルまでは届くので、浅瀬であれば問題はない。むしろ環境的には地上より早く成長することが、実験で示されているという。ただし課題もある。誰でもすぐにできるわけではなく、熟練したダイバーが運営する必要がある点だ。

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The Guardinan紙の記事によれば、現在、Ocean Reef Groupはプロジェクトを本格的に展開するための資金調達をクラウドファンディングで進めているとのこと。ビジネスサイドからのアプローチもあるようだ。しかし、Ocean Reefは付加価値の高い農産物をつくるようなニッチなビジネスには興味はないという。最終目標は、グローバルな食糧の安定供給に貢献することだ。農作に適した土地や水が少ない中東諸国やモルジブなどで有効に使える技術だと考えているようだ。

既存の農家や海洋環境への影響を心配する人もおり、普及するには多くの課題が残されていると思うが、このようなファンタジックなアイデアに真剣に取り組む人々がいることは、世界に少し明るい日差しが差し込むような思いがする。

The Guardian/ Under the sea: the underwater farms growing basil, strawberries and lettuce/ August 13, 2015

【エネルギー】モロッコにおける再生可能エネルギー開発の勢い

Ain Beni Mathar Integrated Combined Cycle Thermo-Solar Power Plant/World Bank Photo Collection

Ain Beni Mathar Integrated Combined Cycle Thermo-Solar Power Plant/World Bank Photo Collection

2020年:国の発電量の42%を再生可能エネルギーで!

モロッコといえば、多くの人が映画「カサブランカ」を思い出すであろう。ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンが主演するこの名作は、映画で使用された「As Times Goes By」の曲とともに、観た人の心に強く印象を残す。

日本の面積の1.2倍の国土に、約3300万人の人口を抱えるモロッコは、農業(麦類、ジャガイモ、トマトなど)と漁業(タコ、イカ、鰯など)が盛んな農業国で、アフリカで5番目に大きな国内総生産を誇っている。フランスの影響を強く受けたアラブの文化は、エキゾチックなイメージを醸し出し、多くの日本人観光客を引き寄せている。

さて、モロッコは今、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー政策への大転換を推進している。モロッコは日本と同様に、石油や天然ガスなどの天然資源を持たないため、現状、国のエネルギーの実に9割以上を海外からの輸入に頼っているのだ。経済が毎年4%〜6%のペースで成長し、エネルギーに対する需要が大きく増加していることから、安定したエネルギー生産は喫緊の課題である。エネルギーにかかる国民への助成金も巨額で、財政に大きな負担となっている。

その抜本的な対策として、モロッコ政府は2020年までにエネルギー総生産量の42%を再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力)でまかなう長期計画を打ち立てた。太陽光発電と風力発電のそれぞれで2000MWの発電量を目標にする。これは二酸化炭素の排出量も大きく削減する効果もある。

すでに大掛かりな開発プロジェクトが次々と開始されており、世銀をはじめ、欧州系の開発銀行がファイナンスを行っているほか、民間投資も活発になっている。中でも中東諸国からの投資が大きくなっているようだ。

世界銀行 (2014/9/30):Expansion of Morocco’s Largest Solar Complex to Provide 1.1 Million Moroccans with Clean Energy

Forbes (2015/4/27) : Morocco Continues its Renewable  Push with Saudi-backed Wind Projects

再生エネルギーへの投資金額も急速に伸びている。投資額は2012年の3億ドル弱から、2013年の18億ドルへと大きく伸びている。こうした投資と開発により、モロッコは中東・北部アフリカ地域における再生エネルギー分野の最先端をいくリーダー的な存在に成長しつつあり、欧州へのエネルギー輸出も視野に入れている。

Climate Policy Observer (2015/7/28): Renewable Energy Deployment in the MENA: a regional overview

日経新聞 (2011/9/20): モロッコが再生エネルギーを輸出へ:太陽エネルギー庁長官に聞く

日本への技術協力の期待も高く、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とも技術提携し、基本調査が行われている。また風力発電プロジェクトの一部に三井物産も受注を受けているようだ。

天然資源がないからこそ、新しい分野の導入が進みやすい。いわゆるリープフロッグ型発展の典型のようなパターンだ。モロッコは2016年のCOP22のホスト国でもある。まだいろいろな課題や制約が残っているようだが、モロッコのエネルギー政策の進展にも注目しておきたい。

【ライフスタイル】給食か弁当か?デンマーク人の子育て事情

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The Copenhagen Postの記事より転載

白熱する給食をめぐる議論

我が子が食べるものは、親が管理したい!デンマークでは、学校の給食制度導入に関して今、白熱した議論が専門家(給食推進派)と親たちの間で交わされているようだ。デンマークの英字紙「The Copenhagen Post 紙」が伝える記事をご紹介する。

Parents or School-who should be responsible for school lunches/ The Copenhagen Post/ August t, 2015

デンマークの小学校の子供達の昼食は、親がつくる弁当(Lunch Box)が伝統的だ。フィンラドやスウェーデンなど、他のスカンジナビア諸国は給食制度を導入しているが、デンマークでは頑なに「弁当主義」を守ってきた。しかし、ここにきて給食制度を導入する動きが生まれている。

給食制度を推進する専門家たちは、子供の食事の偏りを指摘する。曰く、多くの親は毎朝慌てて弁当を作っており、栄養面でバランスが取れていないし、ジャムをつけたサンドイッチのような、単純でワンパターンとなるケースが多い。給食であれば栄養面も十分に配慮し、手の込んだ献立を用意することができる。したがって、子供達の健康のためにも給食制度を導入し、健康的な昼食を食べさせるべきだ、と。

これに対して親たちから一斉に反対の声が上がった。我が子の食べるものは、親が管理すべきだ。欧米の事例でも給食は肥満児を増やすばかりで、ハンバーガーとかフレンチフライのような不健康なものが出されている。子供達の健康には親が責任を持つべきだ、という主張である。記事によれば、デンマークでは子供に弁当をつくることは、子供への愛情とおもいやりに強く結びついているそうで、親は簡単にこの絆を切りたくないと考えているようだ。

もちろん、給食の導入に賛成する親たちもいるわけであるが、このデンマーク人たちの反応は子育てのあり方について考えさせられる。日本のメディアの記事やニュースを見る限り、日本の親たちは、子供のしつけや健康管理に関して、学校にたよる度合いが強いように思える。親は「愛情」を与える役割に徹し、あとは学校に任せるという隠れた意図も見え隠れする。

「生活大国」と言われ、Well Being(人間として豊かな生活)が育つ国と言われるデンマーク。福祉政策などの社会的なスキームだけではなく、個人の根本にある「豊かに生きることへの責任感」といったものを感じさせるエピソードである。

【イノベーション】進化するアフリカのソーラー・システム

Deutsche Welleの記事より転載

Deutsche Welleの記事より転載

資金回収の課題を乗り越えて進む自家用ソーラーシステム

無電化の地域に自家用のソーラー・システムを入れる動きは、バングラデシュなどで広く普及している。バングラデシュでは政府の推進もあり、現在、実に100万世帯がソーラー・ホーム・システムで電化されてる。

このような爆発的な普及が実現した理由は、ソーラー・パネルの値段が劇的に低くなったことや、LED電球のような省エネ家電が普及し小さな発電量でも使い道が画期的に広がったことなどが挙げられるが、最も大きな推進力はファイナンスであろう。低所得者でも手が届くように、分割払いの方法を取り入れ、購入者の初期投資にかかる資金負担を軽減した。毎月の少額返済を1年〜2年続けて完済するとシステムは100%購入者のものになる。こうした仕組みのバックファイナンスを世銀などの国際機関などが政府を通じて支援している。

分割払いの方法は、バングラデシュではマイクロファイナンスの仕組みとネットワークがお膳立てした。現在、バングラデシュで最も販売量多いソーラー・ホーム・システムの会社がグラミンバンクのグループ企業やBRACのグループであることは偶然ではない。

しかし、バングラデシュで成功したこのモデルを、アフリカにそのまま持ち込むことはできない。一番のネックは資金の回収だ。南アジアのような人口密度の高いところでは、資金の回収は人手を使ってきめ細かく行うことができる。1㎢あたり1000人もいれば、1日で多くの顧客を回ることができる。しかし、アフリカではそうはいかない。家と家の間が数キロ離れていることもざらだ。こういうところでは、資金回収にかかるコストが高すぎて採算が合わないのだ。

この課題を解決する糸口を与えたのはモバイルのネットワークとM-Pesaのようなモバイル・ファイナンスの普及だ。アフリカでも、いまやモバイル・ネットワークは広く普及し、どこへ行っても携帯電話は通じるようになっている。また、モバイル・ファイナンスでは、銀行口座を持たなくても携帯電話で資金決済(送金・入金)や貯蓄ができるようになった。こうした新しいインフラが、アフリカの自家用ソーラー・システム(現地ではpico-solar systemと呼ぶ)の普及に新しい推進力をもたらすことになった。

Deutsche Welleの記事より転載

Deutsche Welleの記事より転載

例えば、ケニアをベースにしているM-KOPAやドイツのベンチャーであるMobisolなどである。今、アフリカの東部地域を中心に大きく成長している注目の自家用ソーラー・システムのベンチャー企業である。どちらのモデルも、資金の回収をモバイル・ファイナンスで行っており、顧客との現金のやりとりはなく、資金回収のための人件費が必要ない。これにより大幅なコストダウンを実現し、また資金管理を効率化した。

では未払いとなる顧客への対応はどうするのか。ファイナンスでは、かならず滞納する人々が存在し、その対応に相当の手間とコストが必要となる。両社は販売するシステムのそれぞれにSIMを挿入し、ワイヤレスで1件1件のシステムをセンターで管理できる仕組みを開発し、この最大の問題を解決している。支払いが滞った顧客のシステムは、遠隔から自動的に停止させる。支払いが再開されれば、機能を戻す。これで購入者の返済のモチベーションを上げる仕組みだ。

このワイヤレスの機能は、単なる資金回収以上に効果を発揮している。システムの稼働状況、顧客の電気の利用状況などを把握できるようにして、この情報をマーケティングに有効活用しているのだ。Mobisolの場合、これをベルリンでコントロールしている。世界は、全く新しい次元のビジネスモデルを可能とする時代に入ってきているということだ。

必要は発明の母という古い言葉は、ここにも当てはまる。イノベーションがイノベーションを生み出す循環が、アフリカで始まりつつある。

Powering Developing World with Solar?/Deutsche Welle/July 15, 2015
Solar Energy Lights Up Kenya/Deutsche Welle/July 8, 2015
Solar and Wireless/Deutsche Welle/Jan 28, 2015

【イノベーション】アフリカで進む「次世代型」教育支援ビジネス

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Bridge International Academiesのホームページから転載

途上国の教育支援とデジタルの新しい融合

途上国における教育支援をITを使って支援する試みは、これまで無数にあったが、成功事例は非常に少なかった。例えば、MITのネグロポンテ教授が推進したOLPC(One Laptopp Per Child)の100ドルパソコンが有名である。2005年頃に始まったこのプロジェクトは、小さなパソコンをアフリカ中の学校に配り、子供達の教育を支援するもので、多くのドナーの支援を受けて一世を風靡した。しかし、筆者がルワンダの学校で実際に見てきたところでは、残念ながらそのほとんどが使われておらず、校長室にある金庫に大切に保管されているだけであった。OLPCの活動そのものも、今や聞かなくなっている。

また教室などでパソコンを使い、映像で教育支援を行う仕組みも多く試された。実にたくさんの教育用コンテンツが巨額な資金を使って制作されてきたが、その成果は十分に発揮されたとは言いがたい。

こうした失敗の原因は多々あるが、共通と思われるものをあげると以下の3点となるであろう。1点目は、資金の不足である。小さな規模のプロジェクトが無数に生まれたが、基本的にドナーからの資金に頼っており、プロジェクトが終了すると資金不足に陥り、事業は終了となる。2点目がメンテナンスの難しさである。パソコンやらプロジェクターが故障すると修理できない。そのまま埃をかぶって放置されてしまうのが大半だ。3点目が教師の問題である。いくら立派な機材やコンテンツを渡されても、その利用法について十分な指導やフォローがなければ継続は難しい。

ケニアで始まり、ウガンダにも広がりつつあるBridge International Academiesは、そんな死屍累々の教育支援プロジェクトの欠点を補い、「次世代型」教育支援ビジネスに成功している。すでに12万人の子供たちを教えており、スタッフの数も5000人を超えている。

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Bridge International のユニークな点は、有料でサービスを提供していることだ。もちろん貧困者でも払うことができる少額だが、無料にはしない。授業料を払ってでも受けさせたい授業をつくることで、持続的な運営を目指している。

またコスト削減にも斬新なアイデアを導入している。基本的に一人の担当者が学校を回すシステムで、教師の負担を軽減するため、ITを活用したバックオフィスが全面的にサポートする仕組みとなっている。授業料の計算や回収は、モバイルバンキングで行い、教師が直接現金計算や管理を行うことはない。

さらに教室で教師が教える方法については、手元のタブレットが指導してくれる。簡単な操作で、授業の教え方がわかり、教師が準備する負担を軽くし、標準的な授業がどこでも行えるようにしている。

Bridgeモデルが実現できた背景には、データ通信の普及と低価格化、タブレットのようなデバイスの普及、モバイルバンキングによる少額オンライン決済の仕組みができたことがある。「次世代」教育支援ビジネスは、時代の変化と技術の発展を上手にビジネスモデルに組み込んでいるのだ。

今後は、もっと教師を負担を軽減し、誰でも先生になれるようなシステムが広がるであろう。また子供達の学習を細かくフォローする仕組みによって、効果的な学習管理の研究が進むに違いない。翻って日本の学校や塾の様子を見ると、IT化が遅れており、教師の負担も過剰なままだ。こういうアフリカの技術とコンセプトこそ、リバースエンジニアリングが必要なように思うが、いかがであろうか。

【イノベーション】バイオニック義手の価格破壊!

Photograph: Open Bionics/Open Bionics/The Guardians紙より転載

Photograph: Open Bionics/Open Bionics/The Guardians紙より転載

3Dプリンターでロボット義手を制作

今、世界ではアシスティブ・テクノロジー(Assistive Technology)と言われる障害を持つ人を支援する技術、特にITやロボットの技術を活用するものが徐々に認知度を高め、関心が持たれ始めている。こうした技術には、目の不自由な人のためのコンピュータ画面を読み上げる技術や、ロボット技術を応用した義足や義手などがあり、世界の多くのエンジニアが取り組んでいる。

こうしたアシスティブ・テクノロジーの一つに筋電義手というものがある。これは手を失われた障害者が残された腕の筋肉の電気信号を介し、直感的に操作する義手のことで、すでに製品化され、販売もされている。ビデオなどで操作のデモンストレーションを見てみると、まるで自分の手のように操作していて実に感動的だ。

こうした技術はとても素晴らしいが、課題はコストの高さだ。通常、筋電義手は安くても150万円以上するという。一般の障害者にはとても手が届かない。しかし、あたらしいイノベーションで価格破壊に挑戦する動きが始まっている。

この動きを促進しているのが、3Dプリンターの普及だ。3Dプリンターが一般的に手が届く値段で購入できるようになり、筋電義手を3Dプリンターで製作する技術者が各地に現われてきた。日本ではExiii(イクシー株式会社)という新しいベンチャーが取り組んでいる。3Dプリンターで部品を製造し、大幅に制作コストを削減している上に、部品交換やデザインなどのカスタマイズも可能にしている。

また同様の動きはイギリスのOpen Bionicsでも展開されている。3Dプリンターを活用して作られた筋電義手は、通常4百万円以上のコストがかかる筋電義手を10分の1の約40万円(2000ポンド)で販売でしている。圧倒的な価格破壊である。こちらもカスタマイズができることを売りにしているようだ。

アシスティブ・テクノロジーの普及化を支援する団体も出てきている。例えばグーグルはインパクトチャレンジ/障害者(Impact Challenge/Disabilities)を立ち上げ、革新的な技術で障害者を支援する団体に助成金を出して応援するプログラムを展開している。日本でバイオニック義手の普及に取り組むNPO法人Mission Arm Japanが前出したExiiiと組んで選出されている。

またイギリスのNestaは、Inclusive Technology Prizeを立ち上げ、アシスティブ・テクノロジーのイノベーションに賞金を出している。

こうしたイノベーションがどんどん進み、障害者にとって住みやすい世界に一日も早くなることを願ってやまない。これからの展開に大いに注目だ。