【イノベーション】よいアイデアが普及することの難しさ:空中から二酸化炭素を回収

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良いアイデアと良いビジネスモデルの間にあるギャップ

素晴らしいアイデアは、世界中の研究者などから生まれている。新しい発電装置や蓄電池、生命科学を応用した新技術、ナノテクノロジーを応用した新素材など、分野も対象も多種多様である。しかし、こうした新しい技術なりアイデアが実際に世の中に普及し、使われるようになるには多くの難関を乗り越えていく必要がある。

アイデアが実証されるかどうかというテクノロジー・リスク、製品として成り立つかかどうかの製品化リスク、さらには商品として実際に売れるかどうかのマーケティングリスクなど、多くの山や谷が待ち構えているのである。基礎技術の場合、その実証に長い時間が必要だ。そのあとのプロセスも、人々の生活を変えるインパクトを持つ技術であればあるほど、その実現に長期間を要する可能性が高い。

欠かせないのは、そうしたプロセスに伴うコストを賄う資金であり、サステナブルな事業を築くためのビジネスモデルだ。カネの切れ目が、技術開発の切れ目となるケースがとても多い。特に短期間で成果を出すことが求められるビジネス社会においては、長期にわたる基礎技術の開発は非常に難しくなっている。

例えば、The Guardian紙で紹介している「空気中から二酸化炭素を直接回収する技術」がある。空気中から二酸化炭素を直接取り除くことで、温暖化対策に貢献するというアイデアである。大きなフィルターに空気を通し、溶解液などで二酸化炭素を抜き出して、抜き出した二酸化炭素を合成燃料などに使用するもの。工場のように一カ所で処理できない車や飛行機などが排出する二酸化炭素を空気中から直接取り出して分離しようとする技術である。

現在、これを研究開発し普及しようとするいくつかのベンチャー企業により各地でパイロット事業が行われている段階だ。カナダのカルガリーをベースにするCarbon Engineerはビル&メリンダ・ゲイツ財団からの支援を受けて事業化を進めており、スイスのClimeworksは自動車メーカーのアウディ(Audi)から資金を調達している。またニューヨークを拠点にするGlobal Thermostats社も米国のエネルギー関連企業からの資金調達を受ける見込みと言われている。

どの企業も直面しているのが、サステナブルなビジネスモデルの構築だ。この技術が温暖化対策の効果的な手段となるには、何千億円という投資が必要となり、そのコストを払おうという政府や国際機関は現れていない。回収した二酸化炭素を商業用に利用するとしても、まだ規模が小さすぎて事業を継続させるまでには至らない。長期的にビジネスの機会を伺うための、短期的な資金の調達がどの企業にとっても喫緊の課題だという。

日本でも、多種多様な基礎技術の開発に対して政府は後押しをしようとしており、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やJST(科学技術振興機構)などを通じてバックアップのプログラムが展開されている。パイロットまで持っていくことは比較的やさしいが、ビジネスとして普及させる戦略構築の可否、それを行うことのできる人材の確保が今後の明暗を分けるであろう。

ご参考:Startups have figured our how to remove carbon from the air. Will anyone pay them to do it? / The Guardinan July 14, 2015

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