【ビジネスモデル】リバース・イノベーションを成功させる5原則

リバース・イノベーションで失敗しないための5原則

リバース・イノベーションとは、新興国のためにデザインした製品やサービスに改良を加え、先進国の市場で販売するコンセプトである。

2015年7月号のHarvard Business Reviewにリバース・イノベーションを最初に提唱したVijay GovindarajanとAmos Winterが、これまでのさまざまな企業の実績を踏まえ、リバース・イノベーションで陥りがちな5つの罠と成功させるための5つの原則を論じている。少し長くなるが紹介したい。

陥りがちな罠1:(先進国向けの)既存の製品をそのまま新興国に売ろうとすること

既存の製品やサービスをベースに改良を加えて新興国の市場に売り出すことが一番簡単でリスクが少ないように思われるが、実はこの方法では買い手はつかない。実際のニーズと合わないことが多いのだ。

デザイン原則1:まず問題の本質を理解せよ

既存の商品をどう売るかではなく、途上国のユーザが直面している課題の本質を理解し、具体的なニーズを把握することが先決。新興国の固有の問題やニーズに焦点を充てて研究すべきである。

陥りがちな罠2:機能を落として価格を低くすること

既存製品やサービスの機能を落として価格を低くすることこそ新興国へ進出する方法だと勘違いする企業が多いが、これは間違いである。新興国のユーザも高い機能を求めている。

デザイン原則2:新興国に固有の設計自由度を生かして最適な設計を目指す

機能を落とすという発想ではなく、新興国に固有の設計自由度を生かして最適なデザインを目指すべきである。先進国では見当たらないものや使うことのない技術でも、新興国では最適に機能することもある。新興国の固有の環境の中で、いかに最適な方法を見いだすかが大切。

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陥りがちな罠3:技術的な要件を徹底的に検討することなく設計すること

導入しようとする製品やアイデアが現実的に機能するかどうかの技術的な検討が不徹底で、重要な点が見過ごされたことで失敗に終わるケースが多い。

デザイン原則3:消費者の課題の背景にある技術的な要件を全て分析すること

先進国の常識で状況を判断するのではなく、新興国に固有の状況を徹底的に分析することが大切。例えばトラクターを導入する際には、新興国の状況に合わせて軽量にする必要があるが、農作業での状況を分析するだけではなく、人の運搬にも使うというような当地の使い方にも目を配るべき。

陥りがちな罠4:ステークホルダーに無関心

企業によっては、新興国に数日間滞在し、それで全てが分かったように思うところがあるが、それは間違いである。

デザイン原則4:できるだけ多くのステークホルダーとテストすること

ユーザだけではなく、つくる人、売る人、買う人、修理する人、廃棄する人のように、できるだけ多くのステークホルダーを巻き込んでテストを行うべき。また、設計する時には「ユーザのため」というより「ユーザと共に」という態度で協働する姿勢で臨んだ方が良い。

陥りがちな罠5:新興国向けのデザインが先進国で受け入れられるとは信じないこと

先進国の消費者はブランド志向が強く、途上国から製品には関心がないと考える。あるいは逆に既存製品の強剛になると恐れることは間違いである。

デザイン原則5:新興国で直面する制約をバネに世界に通じる製品をつくる

途上国のさまざまな制約は、それを乗り越えるために技術のブレークスルーが生まれる可能性がある。制約のある環境でデザインした製品をベースに、先進国の仕様や嗜好に合わせて改良することで、高性能で低価格の商品を先進国で販売することができる。

リバース・イノベーションの事例は、まだ多いとは言えないが、新興国の発展が勢いをつけていくなかで、大企業にとっても無視できない戦略となるであろう。記事では、多くの事例を挙げて上記の5つの原則を開設している。途上国の社会課題を解決する多くのイノベーションが生まれてくることを期待したい。

“Engineering Reverse Innovations” by Vijay Govindarajan &Amos Winter/ Harvard Business Review July-August 2015

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