ドイツにおけるインクルーシブ教育の意識調査

Deutsche Welieの記事より転載

Deutsche Welieの記事より転載

ドイツのBertelsmann Foundationが行ったインクルーシブ教育に関するドイツ国民の意識調査の結果が公開された。レポートはドイツ語で書かれているのだが、概略が英字紙に掲載されていたのでご紹介したい。

ドイツでは2009年に国連の「障害者の権利に関する条約」を批准し、インクルーシブ教育の普及を進めている。本調査は、批准後6年が経過する今、ドイツ国民の意識がどのようになっているかを4300名の親を対象にインタビュー調査を行ったものである。

調査によれば、回答した4300名の3分の1以上がインクルーシブ教育を行う学校に子供を通わせている。インクルーシブ教育を行う学校に対する親の評価は高く「子供を通わせている学校に満足しているか」という質問に対し「満足」と答えた親は68%にのぼり、インクルーシブ教育を導入していない学校に子供が通う親の58%を上回る。

先生に対する評価も高く「説明がきちんとできる」、「教えることへのコミットが高い」、「子供の長所を伸ばしている」といった項目で、インクルーシブ教育を行う学校の先生の評価は一般の教師より高くなっている。

調査結果にはインクルーシブ教育に関する親たちの複雑な思いも反映されている。調査対象の7割がインクルーシブ教育が社会に必要と回答する一方、障害者は特別学校で学んだ方が良いとする回答者は6割を超え、半数がインクルーシブ教育によって障害を持たない子供たちの学習が遅れると考えている。

日本でも2014年1月に「障害者の権利に関する条約」を批准、関連法が施行となっている。現場レベルも含めてどのような教育システムを構築していくのか、具体的な議論はこれからだ。インクルーシブな教育とは何か、そもそも教育とは何かの根本的な議論がなされ、全ての子供たちがそれぞれの個性やニーズに応じて成長できる社会に(時間をかけながら)変化していくことを期待したい。

条約批准後のドイツでも、地方公共団体レベルでの対応はまちまちで、すこしずつ理解が広まっている様子だ。これから始まる日本においても長い時間と多くの議論が必要となるに違いない。次世代の社会を生きる子供たちのために、わたくしたち一人一人ができることは、まずは知ることだろう。

記事: Educational Inclusion Slowly On The Rise In Germany, Study Shows/Deutche Welie/ 2015.7.1

調査レポートはこちら(ドイツ語)

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