高齢化対策に取り組む社会起業家を支援
日本は高齢化社会の先進国などと言われているが、高齢化社会への危機感は日本の専売特許ではない。イギリスでも今後20年間に大きな人口構成の変化が見込まれている – 85歳以上の人口は今の倍となり、65歳以上の高齢者は全人口の四分の一を占めるようになるという。
イギリスがおもしろいのは、高齢化のような課題に様々な社会起業家がユニークな方法で取り組んでいて、それを支援するエコシステムが出来上がってきているところだ。たとえば2012年に設立されたNesta Impact Investmentsは、高齢化社会の課題に取り組む社会起業家へ投資するインパクト・インベストメント・ファンドである。
2015年3月に発行されたレポートには、Nesta Impact Investmentの活動や投資先などが詳しく書かれている。特に焦点をあてているのが「認知症」の問題。現在、イギリスでは85万人が認知症に苦しんでおり、その数は2020年には100万人を超える。認知症を抱える本人もそうだが、実はサポートする家族などの介護者の悩みや苦しみは大きい。
こうした悩みや苦しみを一人で解決するのは難しい。社会全体で支援する仕組みが求められるが、国の支援には限界がある。ここに社会起業家による新たなイノベーションが求められているといえよう。Nesta Investmentは、社会起業家の新たな挑戦を支援することで高齢化社会に備えようとしている。もちろん市場としても高い成長が見込まれ、ビジネスとしても魅力的な分野だ。
「なるほど」と感じたのは、インパクト・インベストメントの必要性についての見解だ。国は高齢化社会対策に巨額を費やしているが、実はマクロ的な対策が多い。たとえば新しい治療の方法や診療に対する助成金などである。しかし、実際に苦しんでいる庶民に対する直接の裨益が少ない。国の手が直接には届かない庶民のサポートには、民間の起業家、社会起業家や投資家の役割が大きいとみており、インパクト・インベストメントの意義はその役割の一部を担うことだという。
実は、このファンドを運営するNestaはとても興味深い団体である。その紹介は回を改めて。

